【配祀神】久斯之神(くすのかみ)・大山咋命(おおやまぐいのみこと)
【主祭神】天津彦彦火瓊瓊杵尊(ほににぎのみこと)、木花咲耶姫之命(このはなさくやひめのみこと)、百八十神等
【所在地】島根県出雲市小境市108 (TEL:0853-67-0007)※一畑電車一畑口駅下車 徒歩10分


久斯之神(くすのかみ)が祀られる神殿

日本酒発祥の地「出雲」

出雲は日本酒発祥の地とされています。この地における酒造りは「古事記 神代の巻」に登場する八岐大蛇(やまたのおろち)の話にまで遡ります。素戔嗚尊(すさのおのみこと)がこの大蛇を退治する際に飲ませた酒は「八塩折の酒」と呼ばれ、荒ぶる邪神も酔わせるほどの強力な神酒であったとされています。また「出雲国風土記」の中で、古代の神々は、佐香の川に囲まれた楯縫郡佐香郷(たてぬいのこおりさかのさと。現在の平田市小境市周辺)に酒を醸す舎屋を建て酒を醸したと記されています。

確かに出雲は自然環境に恵まれているうえに、韓国釜山周辺より丸太舟を出すと対馬海流に流れで数日中に出雲海岸に到着できる立地であったため、酒造りの最新技術が伝承され、日本酒が発祥したということは十分に考えられます。

佐香神社(正面)

佐香神社か、松尾神社か

佐香神社に祀られる 久斯之神(くすのかみ)は醸造全般の神であり、醤油、味噌、麹、米酢に至るまでご利益があるとされています(薬師(くすし)の神でもあります)。出雲地方では、旧暦10月に全国から八百万の神々が集うとされており、そのため他県が「神無月(かんなづき)」と呼ばれるのに対して、出雲は「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。この時期、出雲の各神社では「神迎祭(かみむかえさい)」に始まり、「神在祭(かみありさい)」そして、全国に神々をお見送りする「神等去出祭(からさでさい)」が行われています。久斯之神も全国より集まった神々をもてなすために、酒を仕込んで、振る舞ったと言い伝えられています。

また、佐香神社には「松尾神社」という社名もあります。この神社の参道に建っている二つの鳥居の片方には「佐香神社」、もう片方には「松尾神社」と記載された社額が掲げてあります。この理由として、佐香神社は『出雲国風土記』に記載されていたものの、あまり世に知られてなく、佐香神社を酒造りの祖神として醸造界に広めるために、京都嵐山の麓に鎮座する酒造の社である松尾神社を勧誘したのではないかと考えられています。

毎年10月13日に行われる「どぶろく祭り」

現在も10月13日には、どぶろくを醸す「どぶろく祭」が行われています。酒造家である杜氏をはじめ、味噌、醤油などを製造する方も大勢参加されます。宮司により木椀に入れられた濁酒が神殿に供えられた後、参拝客全員で一口づつ飲み回し、良い酒や味噌、醤油が出来るように祈願されます。


湯立ての神事の様子


湯立ての神事で使用される釜

また、この「どぶろく祭り」では、「湯立ての神事」と呼ばれる独特の儀式が行われます。まず器に湯を沸かし、榊にその湯をつけて会場お清め、その後、祝詞の中で神様に奏上し、玉串を供えて神事を行い、神酒を全員で回し飲みます。

この佐香神社の「どぶろく祭り」は、年々人気を呼んでおり、全国各地からの観光客も訪れるまでになりました。


どぶろく祭りに参加する出雲杜氏


お酒に関する祈願、お礼を久斯之神に奉納御礼 奉納祈願枡は こちら

<参考文献> 酒学事始 (「酒学事始」編集委員会) (株)プロジェクト 出雲観光ガイドWebサイト http://www.izumo-kankou.gr.jp/555