本格焼酎のできるまで

本格焼酎ができるまでをチャートで表しました。まずは全体の流れをつかんでおきましょう。


※ 1.二次仕込みについて
一次仕込みでできた酒母に主原料を加えます(この主原料で焼酎の種類が決まる)。一次仕込みで酵母を培養し、二次仕込みで本格的な発酵をさせます。
※ 2.蒸留について
様々なタイプの蒸留機が存在しますが、単式蒸留機が使用されます。さらに常圧蒸留機、減圧蒸留機などがあり、それぞれの焼酎に合わせて使い分けられます。

製麹(せいぎく)


本格焼酎は、原料に麹を使用することが義務付けられています。 麹とは、麹カビ菌を米などに繁殖させたもので、穀物のデンプンを糖化させる役割を持つ酵素を供出することが主目的になります。この麹を造る工程を製麹といいます。
麹に使用する原料は、米、麦などがありますが、原料に米を使用する場合はまず、米をよく洗い糠分を落として浸漬し、米の芯まで水を吸わせます。次に蒸気で蒸米にし、これを放冷して麹菌の胞子を付けます。胞子をつけてから40~42 時間かけて完成し、出来上がったものを麹と呼びます。

麹カビ菌の種類について
本格焼酎の麹造りに使用される麹菌の種類は、主に白麹菌、黒麹菌、黄麹菌になります。
【黒麹菌・白麹菌】
雑菌繁殖を抑制するのに役立つクエン酸を大量に生成するので、気温や湿度の高い南九州、沖縄などにおいては、安全に焼酎を造り出すために不可欠ともいえる存在です。
【白麹菌】
黒麹の変異種で、基本的には同じ性質をもちますが、黒麹の方がクエン酸を多く生産し、芋らしい香りを芋の糖質から切り離す力も若干強いといわれます。黒麹仕込みと白麹仕込みの出来上がりの差は、黒麹仕込みの方が、芋らしさがしっかりした香味となる傾向があります。
【黄麹菌】
通常白麹菌、黒麹菌を使用したものより揮発性の酸が多くなり、甘味を感じやすい商品になりやすいことが特徴です。なお、揮発性の酸とは、蒸留中にもろみから原酒に移行する酸のことです。

一次仕込み

一次仕込みの第一の目的は焼酎用酵母を安全に増やすことにあります。麹だけを先に仕込むのが一次仕込みであり、この段階のモロミを一次モロミといいます。
麹にするための米100kg に対して、予め100~300mlの酵母を加えた120lの水に麹を加えます。一次仕込みの特徴は、まず麹を先に発酵させることと、麹と酵母と水しか使用しないこと。そして一次モロミの仕上がり時点ではモロミ1ml中に2億個から3億個程度の酵母が育つことです。

二次仕込み(※芋焼酎の場合)

一次モロミに所定の水を加え、さつま芋、米、麦、黒糖といった主原料を加えて発酵させる工程を二次仕込みといいます。さつまいもを加えれば芋焼酎に、米を加えれば米焼酎、黒糖を加えれば黒糖焼酎になります。
例えば、芋焼酎の場合、麹用米100kg 規模の仕込では一次モロミに270 ~300lの水を加え500kg のさつまいもを加え7日間前後発酵させます。
焼酎に仕込むサツマイモは、収穫してできるだけ早い段階で焼酎蔵に集荷し洗浄後、人の目で一個づつみて、苦味の元になる擦れた部位や両端を切除します(蒸芋は放冷後砕いて仕込まれます)。
蒸すなどの加熱処理を行う主な理由は、生デンプン質のままでは、麹菌が糖化できないからで、麹の作用を受けやすい状態(α化)にすることと、生臭と呼ばれる芋の持つ植物的な青っぽい香りを変化させることや、殺菌も目的になります。

蒸留

発酵の終わったもろみを蒸留して、焼酎原酒を得る工程を蒸留といいます。本格焼酎の蒸留には単式蒸留機が使用されます。
アルコールを含むもろみを蒸留釜に入れ、沸騰させると初めは70%くらいのアルコールが溜出します。
アルコール分が原酒中に移行するにしたがって、蒸留釜内のアルコールは少なくなってきますので次第に溜出液のアルコール分は低くなっていきます。通常、10%前後のアルコール分が溜出するようになった時点で蒸留を止めます。この溜出液を集めたものが焼酎原酒になります。
焼酎の原酒アルコール分は芋焼酎で37~38%程度、米焼酎では42~ 44%程度あります。
蒸留したての原酒中には原料やもろみ由来の香味成分が多く含まれています。

蒸留方法の違いと特徴

単式蒸留には大別して大気圧下で蒸留する常圧蒸留と、気圧を下げて低い温度で蒸留する減圧蒸留があります。
【常圧蒸留】
原料やもろみ由来の香味成分の他に蒸留中の加熱によって製成される香味成分も原酒中に入ってくるので、濃醇な焼酎に仕上がります。
【減圧蒸留】
沸騰温度が低いためもろみ中から原酒に移る香気成分は、低い温度で沸騰しやすい成分(華やかな香りの成分)の比率が高まります。

蒸留の最初に得られる蒸留液だけで造った焼酎は「初溜(しょりゅう)取り」または「ハナタレ」などと呼ばれます。蒸留で得られるものは、水、エチルアルコールのほか、エステルやフーゼル油(高級アルコール)という成分ですが、これが焼酎の芳香成分となります。

貯蔵・熟成


蒸留したての原酒中にはガス成分が含まれており、飲んだときに「焼酎が荒々しい」と感じる一因となっています。また油性成分が過剰に含まれ、濃い濁りとなっている場合もあります。
蒸留した原酒を貯蔵すると、余剰な油性成分が分離し、原酒に透明感がでてきます。分離した油性成分は原酒表面に油膜として浮いてきます。これが空気に触れて、酸化すると不快な油臭を発現してしまうため、貯蔵中は丹念に原酒表面の油膜を除去します。また、貯蔵、熟成させることで、ガス成分が揮散して荒さがとれてくると共に、アルコールを水が包み込むような熟成効果がでて、酒質が安定してきます。

貯蔵、熟成容器による違い

タンク貯蔵
最も酒質に影響を与えず、クリーンな状態で熟成が進みます。大量に貯蔵することができます。

甕貯蔵
甕貯蔵の場合、表面に微量の空気を取り入れる甕の呼吸作業や遠赤外線の影響により、熟成が促進され原酒がまろやかになる効果が得られます。甕で長い熟成をさせたものは甕の色が移り、薄っすらとグレーがかったものもあります。

樫樽貯蔵
樫樽貯蔵は木の香りや琥珀の色調が原酒に移ります。ウイスキーが琥珀色なのはこのためですが焼酎の場合は吸光度0.08 以下と定められており、そんなに濃い色調には仕上げません。(焼酎の場合、カラメルなどで着色することはありません)

割水・調整

酒質を一定にするため、タンクごとの原酒を混ぜ合わせることをブレンド(調合)といいます。その後、水を加え、目的とするアルコール度数に仕上げることを割水といいます。
このブレンド(調合)、割水の間や後に、酒質を変化させないために濾過を行います。世界の蒸留酒のアルコール度数は平均して40 度ですが、焼酎の場合、主に25度に仕上げられることが特徴になります。

瓶詰、出荷

濾過後、瓶詰めし、市場に出されます。

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