店主 上野 嘉都司 氏
1966年東京都生まれ。埼玉県の企業の役員を務めた後、28歳でこの世界に入る。2006年より幸寿司の店主に。

地元客に支えられ創業61年、マグロに自信あり。

店内に入ってまず目に飛び込んでくるのが、壁中に貼られた手書きのメニュー札。 日本酒の銘柄もずらりと並び、「旨いもんが揃っているよ!」という、気取りなさや威勢の良さが感じられます。 「寿司屋というより居酒屋だと思っている人も多いんですよね」 と店主の上野嘉都司氏。 ここは東京都練馬区。東京メトロ有楽町線赤塚駅と東武東上線下赤塚駅からすぐ近くにある創業61 年目の「幸寿司(こうずし)」です。三代目である上野氏は、もともと企業に勤務していましたが、28 歳からこの世界へ。店を継ぐつもりはなかったものの、常連客である近隣住民に長く支えられてきた店を父親の代で畳むことになるのは忍びないと、父と並んで厨房に立ち、8 年前からは店主として仕入れやにぎり、魚の調理を担当、父親は裏方で揚げ物や焼き物、しゃりを担当するようになったそうです。 40 名前後の客数があるというランチタイムは、にぎりまたはちらしに漬け物、サラダ、味噌汁、コーヒーがついて850 円という安さ。 「おまかせはやっていません、金額のわからない寿司屋って不安だし、単価が高くなってしまうから。昼は年配客が多いですね。雨の日に傘さして、杖ついてわざわざ来てくれたりしたら、850 円でもいいネタ出しちゃおうって思うでしょ。だから儲からないんだけど(笑)」 夜は平均客単価5,000 円。1 品の盛りが多いため、料理数品と寿司を取り分けて食べる人が多いそうです。若い世代や家族連れも多く、土曜の夜は予約でいつもいっぱいに。 天ぷらやサラダまで料理は幅広くありますが、上野氏の一番のこだわりはマグロ。築地に通い自身で開拓した業者より、大間のマグロをはじめとする天然近海物を仕入れています。また、俳優の松方弘樹氏が釣り上げたマグロを競り落として、テレビ取材が入ったことも。横浜からわざわざタクシーでマグロを食べに来た人がいるというから驚きですが、銀座の高級寿司店にも劣らないと自負するネタをギリギリの価格で提供しているため、むしろ安くつくのかもしれません。

特上寿司2,200 円。ネタはマグロ、真鯛、ウニ、赤貝、甘海老、数の子、卵、鉄きゅう巻き。米は佐渡のコシヒカリを使用。シャリは18g が一般的だが、あえて20 〜22g とやや多めにしている。甘さはひかえめ

近海の天然生マグロを専門に扱う築地の仲買人「米彦」より仕入れた大間のマグロの刺身、4,000円。

店の入口には、びっしり貼った大間のマグロのシールと共に唎酒師などの認定証を提示。

壁に貼られたメニューはすべて上野氏の手書き。「祖父の時代まで、この周辺は農村地帯でした。上階に宴会場があり、法事などの需要が多かった。それが時代と共に厳しくなり、今は1 階の店舗のみですが、この先創業100 年までは続いて欲しい」。

東京都練馬区田柄2-32-19
☎ 03-3939-1679
18:30 〜23:00(最終入店21:00)
水休
昼 11:00 〜13:45(L.O.)850 円
夜 17:00 〜22:00(L.O.)平均客単価5,000 円
座敷20 席、テーブル8 席、カウンター5 席
※表記価格はすべて取材時2月現在の消費税に基づいています。

NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会) 会報誌「もてなしびと」2014.4掲載より一部抜粋